温暖化が深刻化していた、ある3月…
地上で住めるのは、100年前の1000分の1にまでなっていた。
主人公の伊江は気弱で臆病な普通の高校生。
友達のカズと一緒に、ファーストフード店で大好物のチキンナゲットを食べていた。
外に出ると、暑くて真夏のような気候にうんざりする。
伊江とカズは、帰宅するためバスに乗り込むと将来の事などを話していた。
カズはいつの間にか返答が無く、よく見たら気絶していた。
「お…おい…カズ?」
しかも乗客達が皆、意識を失っていたのだ。
偶然マスクをかけていた伊江は、気を失わずに済んだ。
状況を確認するため運転手の元へ行くと、顔にはガスマスクが付けてあった。
「運転手さん、なんなんスか!?」
マスクを外して問いかけた伊江は、その瞬間気を失ってしまう。
そして目が覚めた伊江は異様な光景を目の当たりにする。
「な…なんだ?」
意識を失っている多くの人間が積み重ねられている。
伊江は更に乗っているトラックの荷台から外を見てみた。
全身防護服の男達が、人間の合格・不合格を選別していたり、冷凍された裸人間の解体作業を行っている。
「あー…お前目え覚めちゃったのか?」
「こっ、ここは…なんなんですか!?」
防護服の男に、ここからは絶対に逃げられないとだけ言われ、伊江の質問は答えてはくれない。
「お前はⅡ型だな」
そう言うと、伊江の肩を鎌でぶっ刺して他の場所へ放り込まれた。
「痛っ…でえええ!!」
伊江が放り込まれた先は人間飼育室。
薄暗い部屋にはブクブクと太った肥満体の人間達が、天井から伸びている管を口に咥え、何かを飲んでいる。
それは、甘い匂いがするジュースのような液体で、太らせて肉を提供する為のものだった。
「コレ、飲まねーか?…スッゲエうめーよ」
「カズ!なにしてんだよ!」
なんと、ココにはカズが居たのだった。
室内は蒸し暑く喉が渇く伊江。
「一口だけ…」
「飲むな!」
「なっ誰だ!?…」
伊江が液体を飲むのを止める為、羽交い締めしてきたナツネという青年。
「アレは、飲む者の思考を抑制するらしい」
ナツネは、持っている通信手段か外の情報を話すよう伊江に言ってきた。
「そうイラだたなくてもイイじゃありませんかぁ」
次に現れたのは山引という青年。
「我々もココに来て3日と11時間、イライラがピークに達してる…」
飲まず食わずでいた山引は、伊江の頬に付いている汗を舐める。
4人の脱出チャンスは…
〜登場人物〜
・伊江(いえ)
主人公の高校生。
チキンナゲットが好物で夢は画家。
友達のカズと帰宅途中、バスの中で拉致されてしまう。
・カズ
伊江の友達で一緒に拉致される。
思考を抑制する液体を飲んでしまう。
・ナツネ
腕っ節のいいイケメン男子。
伊江とカズが来る3日前から山引と共に拉致されていた。
脱出の方法を考えている。
・山引(やまびき)
メガネをかけてロン毛の男子。
ナツネと共に拉致されていた。
▼食糧人類▼
蔵石ユウ/イナベカズ/水谷健吾(著)
↓ ↓ ↓
圧倒的な恐怖の世界観がグロい。
次の展開に疑問を持ちながら緊張して読めるハラハラ感がたまらない。
人間を太らせて食料にするという悍ましい内容がリアルな描き方で引き込まれる。
食物連鎖とは人間以外の世界で起きている事と思っていた分、ある意味ショッキングなストーリーではある。
ホラーならではの恐怖感を味わえる。
▼食糧人類▼
蔵石ユウ/イナベカズ/水谷健吾
↓ ↓ ↓